アオダイショウの飼育と野外採集個体の注意点~寄生虫の治療を考えてみませんか?
2016/12/20
爬虫類飼育が好きな方は、山や川や水田地帯といったフィールド散策も好きな方が多いのではないでしょうか。
そんな自然の中でしばしば遭遇するアオダイショウ。飼育する“だけ”なら結構簡単な部類に入ります。
――が、ちょっと待って下さい。
アオダイショウ飼育の注意点について、これだけは押さえていて欲しいということを2つまとめてみました。
1つ目は匂いが強い個体が多いことに注意して下さい。
ヘビに匂いがあるの? と思われるかもしれませんが、ヘビは警戒した時に尾にある臭腺から匂いを発します。
ヘビの種類によって匂いは色々と異なるのですが、アオダイショウは青が付く名前のとおり、(個人的な感覚では)キュウリの匂いを5~10倍にしたような青臭い匂いがします。
衣類や手に匂いが付くと、なかなか落ちませんので注意が必要ですが、数ヶ月かけて飼育に慣らしていくことで、人間にも慣れて、匂いを発することは少なくなります。
2つ目はWC(Wild Caughtの略。野生の個体を採集したもの)個体には寄生虫がついている可能性が高いという問題です。
ヘビにどんな寄生虫が付いているかというと、ダニ、線虫、条虫、原虫などです。
とはいえ、自然の中で暮らしている個体は寄生虫を持っていても状態良く元気に暮らしています。
寄生対象を殺してしまうと寄生虫本体も生きていけなくなりますので。
ですが、飼育下ではストレスや餌の片寄り、気温や湿度の変化などでヘビが体調を崩すことがあります。
そんな時に寄生虫の数が増えたりすると……せっかく捕獲してきたアオダイショウが死んでしまうこともあり得ます。
さらにもう一つ頭の痛い問題があります。
それはダニなどの寄生虫が、飼育中の他のヘビにうつる問題です。
WC個体を1家で1匹だけ飼うなら良いのですが、1部屋に他のヘビがいる場合、ダニは特に注意したいです。
蔓延すると完全駆除がめんどうな作業になります。
以上、アオダイショウを飼育する前に認識しておいて欲しい注意点でした。
やっぱりWC個体を飼育するには、それなりの覚悟と投資が必要だと私は思います。
コーンスネークのCB個体の方が飼いやすいのですが――それが分かっていても、身近にいるアオダイショウを飼育したいという欲求は湧いてくるものだからです。
なにせ“自然の一部を家に持ち帰ってみたくなる”というのは、数千年以上前から人間が持っている本能でもありますので。
最後に。日本においてアオダイショウやシマヘビ、ジムグリは飼育に手を出しやすい種類です。
機会があったら、多少の投資と真面目な覚悟を持って、ぜひチャレンジしてみて下さい。